aquatic toxicology


エビちゃんの自殺行為


http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100720004&expand&source=gnews
SSRIは脳の相当「旧い」部分を直撃するらしい。海老にだって効くんだから。
「ココロ」とか「感情」といったレベルよりもっと根幹にある「生存本能」あたりを左右するみたいだ。


身の安全のため本能的に物陰に潜んでいる海老が明るいところにガンガン出てくるってのは当に自ら生存の危機を招くってやつだ。普段は明るさを感知して暗いほうへ動くっていうシンプルな行動原理で身の危険を避けているのに。植物で言えば根っこが空に向かって伸びていくようなレベル?
SSRIが効いている部分って「身の危険」を察知して自動的に回避するっていうほとんどの動物が持っている本能(行動パターン)を緩めてしまうのかもしれない。人間の感覚でいうと、とっさに「恐怖」を感じてきゅっと身が縮こまったり、はっと立ち止まったりする急ブレーキが効かなくなるという感じかな。要するに「びくびく」しなくなるってこった。SSRIが「社会不安障害(昔風に言うと××恐怖症)」の人によく効くってのも、よくわかる。


実際、SSRIを投与したら社会不安障害で超引っ込み思案な人が急に強気になって会社の会議で口論になるなんてトラブルを起したりすることもあるそうだ。うつの人に投与するときも、気をつけないと、急に明るくなって買物しまくったり、結婚したり、子ども作ったり、刺青いれたり、ボディピアスいれたり、会社辞めて旅に出たり、、、いろいろやってしまうこともある(行動化ってやつ?)。こういうことを休職中にやってしまうケースも少なくないわけだが、普通に就業していてもハイリスクなことをそんなときにやるってことは、将に「身の危険」をちゃんと感じられてないってことだと思う。*1


SSRIで治したいところってのは、「不安」とか「ダメダメ感」とか、人間のマイナス思考パターンのあたりなんだけど、実際は思考よりもっと深いレイヤーに薬が効いてしまうということらしい。余計な不安感や無意味な自信の無さ、といったあたりだけ鈍感にしてくれるといいんだけど、「生存の危機に対する恐怖感」みたいな根源的なところから鈍感になってしまう。。。ってことをエビは教えてくれているのかも。
*2

*1:こう書くと、なんか「ドラッグ常用者のハイリスク行動」みたい...

*2:初期のSSRIにして「スマートドラッグ」と呼ばれたプロザックを2、3ヶ月続けて飲んでいると「死の恐怖」もあまり感じなくなる。プロザック服用者は服用開始3ヶ月後に自殺してる人が多いってのがわかって、米国では一時騒ぎになっていたようだ。