resilient response

挫折したまま禁止!



「君、一度も挫折したことないでしょ?」


うちの新入社員が、就活のときうちのOB(今は先輩社員)にそう聞かれたと話していた。あとで採用担当者に聞いたら、面接のとき挫折知らずな印象だったのは、その先輩社員の方だったらしい。自分が聞かれてたから、後輩にも聞いてみたのかな。


挫折したことがないのはべつに悪いことではないと思う。
むしろ優秀だってことかもしれないし、努力家だってことかもしれないし、計画性が高い人なのかもしれない。
そういう人なんだったら、採用してもいいかもしれない。


ただ、希に挫折を避けてきただけの人が混ざっている。
失敗して挫折するのが怖くて挑戦することをずっと避けてきたような人。
新しいこととか、環境の変化とか、やり方のわからないこととか、そーゆーのに弱い。それでも就職しようってんだから、彼・彼女にしては就活は人生初めての「挑戦」なのかもしれない。なら、安定した市場で安定した事業をやってる会社に入るしかないな。*1
こーゆー人は失敗しないように慎重にことを運ぶので、地道だがミスは許されないような業務なら向いているだろう。でも配置転換とか転勤とかはさせられないので、長い目では使えない社員になってしまう可能性はある。


じゃあ、挫折したことがある人なら、いいのかというとそういうわけではない。
一番困るのが、挫折したままの人。つまり過去の失敗をずっと引きづってる人。失敗を避けて生きてきた人よりも、失敗に過敏だったりする。*2
知合いに過去の挫折を30年も引きずっているおじさん(50代)がいるんだけど、引きずり具合がすごい。何かのきっかけで(たぶん過去の失敗と似た状況になったとき)過去の出来事を思い出してしまうと、もう大変。30年も前の話をまるで昨日起こったことかのように突然話し出すのだ。細かい状況設定やら、相手の言った言葉やら、こちらが聞いてもいないところまで、ディテールを正確に再現してくださる。過去のその瞬間の感情や思い(恨み?)もありありと頭の中に再現されるのか、顔を真っ赤にして声を荒げての熱演になる。はじめて観たときはほんと驚いた。で、大熱演をやった日は「今日はなんか疲れたので、早く帰ります。」と言って家に帰ってしまう…でも自分が自分を疲れさせてることはまったく気づいていないみたい。


企業としては、挫折してもすぐに立ち直れる人がほしいわけ。失敗してもすぐ立ち上がって前進を続けてもらわないと、人材がいくらあっても足りなくなる。*3
失敗することを恐れないのはいいが、失敗しそうなのに気にもしないようなやつは単なる鈍感。失敗しても挫折しない人というのは悪くはないが、懲りずに同じ失敗を繰り返すようなら、学習効果のないバカ。多少は挫折するぐらいでちょうどいいんだと思う。


<今日の生きる知恵>
就活の面接で「あなた、今まで挫折したことないでしょ?」と聞かれたら、「いえ、挫折から立ち直るのが早いんです。」と答えておくこと。

参考:就職コンサルタントによる「挫折経験」調査のきれいなまとめ。
http://consultant.en-japan.com/html/enquete_report/report_42.html

*1:いまどきそんな会社あるんだろうか?あったとしてもジリ貧で将来はどうなってるかわからないと思う。

*2:物心ついてからずっと失敗を避けてきた人が大人になって初めて失敗すると、その後ずーっと引きずり人間になってしまうのではないか、という仮説を持ってるんだけど、どうなのかな。だからこそ、企業の採用担当は「挫折経験」のない人をリスクと見るんじゃないかな。

*3:それくらい「仕事」では失敗する確率が高い。失敗する以前に、実行せず立ち消えってケースも多いけど。