benefit calculation

こんな靴は就活でなくてもNG



1月に下書きしてUPしないままだったエントリー。
http://diamond.jp/articles/-/10471
を読んで。


会社説明会で福利厚生についてしつこく質問する学生が採用担当者から疎まれるというのは、会社側の人間にとっては当たり前のこととという感覚なのだが、学生さんの側からは詳しく訊いて当然のことだよね、という認識のギャップがあるようだ。会社の側は、福利厚生サービスのスペックにこだわる人は、会社にしがみつくタイプ(つまり会社のお荷物)になる可能性が高いと見ている。


福利厚生についてしつこく質問する学生と会社にしがみつく社員の共通点は何か、というところが学生さんや雇用されたことがない人にはよく伝わっていないところにギャップが生じる理由があると思う。
共通点を一言でいうとどちらの人も「会社はなんでもやってくれる」と勘違いしているということ。「なんでも」はオーバーだとしても、きっと「会社がいろいろ用意してくれる」あるいは「会社がなんとかしてくれる」という一方的な期待値が大きい人達だと会社側は見ると思う。
福利厚生は会社の義務だと思っている人は多いが、社会保険料や休業補償は法定福利だが、学生が訊きたい部分はだいたい法定外の福利厚生だろう。法定外ということは、会社が勝手に(任意に)オマケとして(恩恵的に)提供しているのであって、義務でも責任でもない。
そもそも会社は学校でも託児所でもないし、いまどきの企業はそんなに面倒見がいいわけじゃない。会社と社員の関係なんて、もともと労働と報酬の取引でしかない。他の取引よりも法的に労働者は保護されているけど、本来、等価交換の取引のはず。福利厚生は労働の対価ではなく、やっぱり会社からのオマケか寸志でしかない*1。あるいは、「優秀な」人材を採用するための撒き餌であって、雑魚は寄ってきても釣り上げてもらえない。


だから、福利厚生について執拗に訊く学生というのは、売り手市場なのに「もっとまけてもらえへんのー?」としつこく値切る大阪人のようなもんだ。小口取引でもまけてもらえるのが当たり前と思っているタイプ。いくらお客様でも自分のことを神様だと思っているような客は、店側は上得意とは思わない。王様のように一度に山ほど買ってくれるならともかく、一見さんなのにしつこく値切ろうとする客なんて、店側もこれから末永くお付合いしたくなくなるよ。
同様に企業の採用担当者が、福利厚生について根堀葉堀菊ような学生を「なんだかなぁ」と思うのは当然。うちの会社なんかに来ていただいていいんでしょうか、というぐらい優秀な学生だったら、問われずともわが社の福利厚生の詳しいご説明をいたしますが、うちの会社にどんな経験・知識・能力を提供できるかは口ごもるわりに会社から何をもらえるか興味深々な学生さんについては、さっさとお引取り願いたい、ということだと思いますよ。*2

*1:家族手当や住宅手当のように元々は福利厚生だった賃金もあるし、支給額や支給時期が明確な福利厚生は賃金と見なすべきだという行政解釈もあるらしい。だからといって全ての福利厚生が賃金(労働の対価)に当るわけではない。

*2:個人的には、学生さんが福利厚生の内容に関心があるのは当然だと思うが、それ以上に会社の持ってるリソースや資産(有形無形の)に興味深々かどうかは、しっかり見極めたい。福利厚生への関心が勝ってる学生は、入社してもワーカー=人手にしかならない印象がある。給料並みに働いてくれるかもしれないが、もっと安い給料で働いてくれる人もいるかもしれない(理系インド人とか、優秀な学生バイトでも可)。つまりすぐ取替え可能なレベルということ。それなら正社員でわざわざ採用しようと、思わないよね。