new fresh boss

Metrosexal?



新しいボスとボスの初舞台


ボスが新しくなった。
今度のボス(つまり人事部長)はプロパーの役員だ。しかも現場たたき上げの人。かつてうちの会社の人事部長の席は主力銀行からの天下りポストだったことを思うと、ずいぶんうちの会社も大人になったもんだ。*1
新しいボスは技術系バリバリの工学博士で、人事部長のデスクにも人事労務系の本ではなくて、IT関係の専門書が並んでいる。ちょっとした日常業務効率化ツールは自作して配ってくれる。それはそれで残業中のちょっとしたお楽しみのご様子なので、そんなこと役員がしないで下さいとは言いにくい。


役員といっても現場の長と間接部門の長(人事部長や総務部長)とでは立ち位置も毛色も違う。現場の長の場合、現場の意見をボトムアップして経営に伝える役割もあるから、役員といっても数多くの部下(=味方、子分、ファミリー)が後ろ盾についている。でも間接部門の長、それも人事部長なんて言ったら、現場や労組から一番目の仇にされる役回り。たいていはトップダウンの決定やら、就業規則の決まりやら、ゴリゴリと現場にねじ込んでいくような役ばかり。直属の部下は人事部員だけ(部下とはいえ人事労務の専門家だから新部長のお手並み拝見という空気も,,,)。それでも全社の「人」に関わる諸事の責任を負わなくてはいけないというなかなか孤独な立場。
どこの会社でもやっていると思うが、こーゆー異動は役付き役員に昇格させるための試練ということなんだろう。一旦現場と切り離しておかないと、経営者の資質(孤独への耐性、全社を見る視点)は身につかないのかもしれない。


とはいえ、人事部長に就いた途端に、そうゆー覚悟がつくわけでもなく、技術畑出身部長としては「僕は素人なので人事部の皆さんに助けてもらわないと何もできないので、よろしくお願いしますー」みたいなことを就任挨拶で言っていた。あんたもう人事部だから、、、と誰もつっこまなかったが、いつもは強気発言な人にしてはえらく気弱な表現だったので、それなりにヤレヤレ,,,という思いはあるのかもしれない。
そんな新任人事部長にBOSSらしくシャキっとしてもらうべく、ちょっとしたサプライズ企画を実行してみた。
社内研修後に受講者と経営層を交えた立食パーティーを開催したんだが、人事部長が登場するには、ちょうど良い舞台設定。こういう社内パーティーでは、最初の挨拶&乾杯ご発声は社長がやるお約束。開催直前、会場に社長が現れたところで、ささっと社長の左脇に近寄り「社長、急なお願いで申し訳ありませんが、いい機会なので新人事部長に最初に一言挨拶させていただけませんか?」と耳打ち。社長も話しがわかる人で「うん、わかった。僕から彼に振るから」と即ご了解。


司会「えーでは、そろそろお時間ですので、開催させていただきます。最初は社長からご挨拶と乾杯のご発声をお願いしたいと思います。」
社長「ご紹介に預かりました挨拶担当社長です(笑)。いつも私ばっかりしゃべっていると皆さんも飽きてきたと思うので、今日は新しい人事部長に挨拶してもらうことにします。」と、いきなり無茶振り。
人事部長「あー、えー、突然の話しで何を言っていいか、いま頭の半分で必死で考えながらしゃべっていますが、、、」といいつつも、ちゃんと場に相応しい挨拶が続いた。さすがだわ。


人事部長は「もー、社長いきなり振るんだもんなーっ」とその後三日間ぼやいていたが、まんざらでもない表情なので、まぁいい刺激になったのではないかな。役付きになれば、社外の集まりでもいきなり挨拶を振られることも少なくないから、これからもときどき練習してもらおう。


<今日のサラリーマンの生きる知恵>
「上司が上司の役を演じられる舞台を用意するのも、部下の大切な仕事」

*1:省庁の外郭団体の幹部が官僚の天下りポストになっているのが問題視されているけど、天下り自体は民間企業でも関連会社やら出資先やらでバンバンやっているんだから、天下りが問題というのは変な気がする。問題なのは天下りすることではなくて、天下り先でちゃんと仕事してるかどうか、ってところだと思う。銀行が融資先に役員を送り込んだりするのは、経営のお目付け役としてちゃんと貸した金を返してもらうためだったりするわけだし。同じように、官僚が外郭に天下って税金を効果的に使ってくれるならいいし、業績に見合った退職金をもらっても構わないと思う。