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自衛隊もたいへん。

メンタル休職者の復職判断


は、とっても難しい。
一般的には、本人の意思と、主治医の診断と、産業医の意見をベースに判断するんだけど、ベースになる3つが先ずあてにならない。
休職者が「もう、大丈夫です。」と言っていても、まったく大丈夫じゃなかったりするのは、よくある話。
主治医が「職場復帰できる」と診断していても、たいていは「日常生活に支障がなくなった」程度の意味。主治医は元気に働いていた頃の本人を見たことがないんだから、何%復活しているのかわかるはずもない。*1
いちばん頼りになるのが産業医の所見なんだけど、これもある程度は眉に唾をつけておいた方がいい。専属で長年産業医をやってくれている人ならともかく、たまにしか従業員と接したことのない人だと、うちの会社がどんな仕事をやっているのかすらわかっていなかったりする。*2


復職判断が難しくなる背景には、うつ病(あるいはメンヘラ一般)が持っている特性がある。
・完治したのか見た目にわからない。
・薬(向神経薬)を飲みながらの勤務に対する心配
・復職したとたんに不安定になりがち。(再発率が非常に高い)


うつ病は、何を以って「完治」と言えるのかが難しい。ケガなら傷がなくなるから素人目にもわかりやすくていい。足を骨折しても、松葉杖ついてでも会社に出てこれるなら、復帰は可能だとわかる。
メンヘル系は復帰段階でも、薬は飲み続けている場合がほとんど。一方会社側では、薬を飲みながら仕事をすることに対して、不安視する人がまだまだ多いと思う。うちの人事部長ですら私に「いつになったら薬は飲まなくてよくなるの?」と訊いたぐらいだ。人事部長ですらこれだからなぁ。メンヘル以外の病気だと、薬を飲みながらの勤務についてはわりと会社側の理解が得られているように思う。血管や心臓の病気なら、薬を飲んでいても、その点について心配する人はいないだろう。やっぱりドラッグ向神経薬を服用してるってことが、問題視されているのでは?*3


さらに復職してすぐに休みがちになって、再度休職してしまうなんてケースが多いのも、会社側の判断を難しくしていると思う。復職直後のそんな失敗経験の積み重ねが会社側の判断を慎重にさせてしまう。*4
メンヘル休職者にとっては、復帰直後が緊張(辛さ)のピークだし、不安定になりがちなのは当然。でも、復職直後の安定勤務が会社側(所属部署、人事担当者、産業医など)に対して安心感を与えるのも事実。ここで会社側に安心感を持ってもらわないと「こいつにもう一度仕事を任せてみよう」という信頼感は生まれない。
会社側(上長や同僚、人事)は休職者に対して「こいつは使いものになるんだろうか?」という疑念を本音のところでは持っていると思う。一方、休職者側も会社に対する疑いの目(あるいは見捨てられ感)を持っているケースが少なくないと思う。両者それぞれが持つ「疑う心」を互いに「偏見だ」「被害妄想でしょ」と言ってしまったら、復帰直後の不安定期を乗り越えることは無理だろう。

*1:主治医の診断を鵜呑みにしてはいけないことは、厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」でも指摘されている。

*2:もっとも、人事のメンタル担当者でも、人事畑しか歩いたことがなく、現場の仕事経験がない場合は、本質的なところ(休職者の言っていることの実感)はわかってはいないんだなぁ、と感じることもある。

*3:お酒でストレスを発散させないと仕事ができないという人はいくらもいるけど、昼間仕事中から飲まないとやってられなくなったらかなりヤバイ。メンヘル休職者も、アル中と同類に見られているのかもしれない。アルコールも向神経薬も脳の神経細胞に大きなダメージを与える点、ときに人を乱暴にする点では、似たところがあるし。

*4:性悪人事マンなら、これ幸いと、復帰後すぐに休職させて休職期間満期退職に持ち込むかもしれない。