the man of moods
「売るものは何もありません。あるのはムードだけです。」
(Hedi Slimane,2008)
ファッションはムードだ、なんてドン小西が言いそうなぐらい陳腐な台詞だけど、エディ・スリマンが言うと、やっぱりそうなのかーっと思わせるぐらい説得力があるな。the man of moodsか、いいねぇ。
とはいえ、ムードだと言っても、最終的には形に落とし込まれないとムードも体現されない。
ムードの大きな傾向はディテールよりもシルエットに宿るという説もある。特に男子服のシルエットの傾向を一番チェックできるのがジャケットの形の変化。
ここ最近、ショート&タイトなコンパクト・ジャケットが主流だったけど、2009春夏はウェストを絞ってないゆったり目のジャケットを出すブランドが増えるらしい。男子服もようやく本気で80年代っぽくなってきたかな。
女子服のふんわり空気感路線をメンズに持ち込んだ先駆者ランバンも来春はさらにふわふわ、ゆったり。
http://www.vogue.co.jp/fashion/shows/09ssmens/paris/lanvin/runway/00160m.html
ジュンヤ・ワタナベも、ついに大きめでダブっとしたジャケットをリリース。初期のカールヘルム?ギンガムチェックばっかりだし。ジーンズはロールアップしてるし。チェッカーズかっ!
http://www.vogue.co.jp/fashion/shows/09ssmens/paris/jwatanabeman/runway/00220m.html
クリス・ヴァン・アッシュのディオール・オムも、ボリューミーなトップス展開予定。男子もひらひらせよ、ということか。
http://www.vogue.co.jp/fashion/shows/09ssmens/paris/diorhomme/runway/00200m.html
ドメスティック男子服は当分、60年代米国レトロスペクティヴが続きそう。でもトップスのシルエットはボリューミーなものを展開し始めてるところもちらほら。しかも、インパクティス・ケリーとかN.ハリウッドとか、古着大好きデザイナーのブランドがわりとゆったりしたアウターをこの秋冬から発売中。ゆったり&もこもこであったかそう。
男子服もフォークロア路線を取り込み始めたから、いままでのタイトなシルエットじゃ牧歌的な雰囲気が出でないのかも。