don't speak but listen


聞き上手 VS 聞かれ上手


10年前は、プレゼン能力とか、ディベート能力とか、上手に話す技能が仕事する上では求められた。
今は、表現系の能力は、学校でやっておくような基礎的技能ぐらいの位置づけになってしまった。
今、仕事(職種関係なく)に不可欠なのは、話す能力より、上手に「聞く能力」って認識がかなり定着。


といっても、話し上手の数に比べると、まだまだ聞き上手の数は少ないと思う。
特に、プレゼン力とかを若いころ鍛えさせられた35歳以上の世代は、話し上手な分、聞くのがヘタだ。(含む自分)
ヒトの話を「聞く」ためには、自分は「話さない」ことが先ず必要だから。それに、ヒトの話を聞いてるより、自分が話している方が楽しいから。
その上、聞く技術って、話す技術を身に着けるより3倍は難しい。積極的に話すのは簡単だけど、積極的に聞くってどうしていいかわからないもんな。*1


営業とか接客でも、べらべら言葉でまくしたてるようなのは、やらなくなった。*2
接客業、例えばアパレルの販売員がお客に対する間の取り方が、昔と全然違う。
まっとうな社員教育してるところなら、店の入り口に販売員が陣取ってるなんてありえない。
お客が店に入って、速攻はかけない。それどころか客が店員のいるあたりに近づくと、すすーっと店員の方が引いていく。
押せ押せな接客はすっかり見かけない*3。引きの接客の時代かな。
でも、お客が何かの商品に興味を見せた瞬間を逃さず、右斜め後ろから「他のサイズもございますので、、、」とか声をかけてくる。あまりのジャストタイミングに、おー、よく客の行動観察してるなーと感心してしまうこともある。もー動物写真家並み!


こうした「聞き上手」や「引き上手」の攻勢に、お客の側は、どう対処すればよいか、、、考えてるところ。
聞き上手の上手を行くには、「聞かれ上手」になるしかない。
答え上手になってしまうと、こっちの手の内を明かしてしまうことになる。
買うとか買わないとか、イエスとかノーとか、その辺は一切口にせずに会話を続けながら、いつの間にか、こっちが聞き手になって、いろんな情報を聞き出してしまうという技術。
そう、取引がらみの会話では、最終的に聞き手になった方が勝ちなんだと思う。


話し下手や無口の出番だ。

*1:聞くことに集中すればいい、なんていうほど簡単な話ではない、と思う。

*2:少なくとも、もう一度、そのお客に来て欲しい、買って欲しいと思うのなら、押し売りやっちゃいかんってことだろう。お客側が結果モノを購入したとしても、少しでも押し切られたなと感じていたら、失敗だな。

*3:今でも、シルバーアクセ屋の販売員って、押せ押せだよな。昔から酷かった。おかげで買わないぞオーラを背中から出せるようになってしまった。