biker or nerd

少年爆走族



医療少年院に入る少年のタイプは、バイク派とアニメ派


が2大勢力だそうだ。(岡田尊司「悲しみの子どもたち」2005)
年末、会社のデスクを整理していたら、3年前引き出しにほうりこんだままになっていた新書が9冊もでてきた。「帯買い*1」して忘却してたやつ。
その中で、タイトルにロックを感じて手にとったのが、岡田先生の「悲しみのこどもたち」*2。岡田先生は、宇治市にある京都医療少年院精神科医


医療少年院にやってくる少年・少女たちといえば、大半はいわゆるヤンキーでバイクで暴走してた子たち...だったんだけど、いわゆる引きこもり系のアニメ・オタクな子が増えてきて、少年院の職員側も対応に苦慮してるらしい*3


早い話、バイク派のヤンキーは、よくも悪くも「古風」な不良少年で、群れの中で集団行動してきた連中なので、腹を割って話したり、規律を守って生活したり、できないワケぢゃない。でも、アニメ派は、本心を明かさないし、集団行動になじまないので、職員側もとっつきようがないらしい。*4


シャバにいるときは、ヤンキーとオタクは、天敵どうし*5。なら、いっそ少年院内でも分けた方が、トラブらなくていいんぢゃないかと思ったら、逆なんだそうだ。
岡田先生曰く、アニメ系とバイク系が医療少年院で出会うことは「非常に治療的な意味がある」んだとか。「同質すぎるよりも、異質であるほうが、他人だけでなく自分を発見する」きっかけになるからだそう。この点は個人的にも激しくうなずける。
オタク第一世代のワタシが、逸脱遁走して、墨肌になって、元暴ヤンやら元走り屋やら、十代ぢゃ出会わなかったタイプの人たちと出会ったことで、社会復帰していったのは、本当の話。もー、あのときであったヒトたちには、どんだけ世話になったことか。自分の会社には友人と呼べるヒトはほとんどいないが、あのとき出会った連中のことを話すときは、いまでも「友達」と素直に言ってしまう。


なんて考えていたら、
品川区の戸越銀座で、高2男子が包丁で斬り付けてまわったとか。少年は精神科通院中だったらしいから、医療少年院行きの可能性もある。
彼は、バイク派か、アニメ派か、どっちなんだろ。
犯行パターンからすると、ほぼアニメ派確定だな。少年は雛見沢症候群だという話がすでにネットでも...


そういえば、バイク・アニメって、ぜんぜんないんだね。
車でも船でも、飛行機でもヒット作があるのに。やっぱり、昔からアニメ制作関係者は、バイクにいい印象がなかったのかな。*6

*1:新書の表紙に巻かれた帯のキャッチコピーだけ見て買う本の買い方。優れたコピーは、優れた編集者が考えてるので、ハズレは少ないし、普段読まないジャンルに手を出すいいきっかけになってる。

*2:同世代のギター少年としてはジェフ・ベックの名盤ブローバイブローB面一曲目「悲しみの恋人たち」へのオマージュかと良い方に誤解。

*3:2004年に執筆された本で「最近増えつつある」と書いてあるから、今はさらにアニオタ犯罪が増えているかもしれない。医療少年院も通常タコ部屋なんだけど、アニオタ系の子は同室の子たちに溶け込めず、以前は懲罰房として使われていた個室が満杯になってしまったらしい。一時は大部屋を個室に仕切って対処していたことも。それってネットカフェぢゃん。

*4:個人的な見解としては、少年犯罪とバイクやアニメに因果関係があるとは思わない。関連性はあると思うけど、原因ぢゃないだろ。統計的に有意だからといって、何かが何かの原因とは限らない。科学的な実験結果でも、示せるのは関係性まで。迂闊にこれが原因だなんて言い切ると、後で反省する羽目に。

*5:ヤンキーは路上でオタクを餌食にし、オタクはネット上でヤンキーを槍玉にしている。

*6:バイク漫画ってジャンルは昔からあったけど、実写化はされても、アニメ化はされなかったのでは。「北斗の拳」アニメ化以来、バイクは悪者が乗る乗り物というイメージが、アニメっ子たちに刷り込まれてしまったという説なんて、説得力あり?