short & deep

今年はジャケットのデザインの節目の年になりそうな感じ。
この春は、男の子の服の流行が変わったのが目に見えてわかる。ここ数年のジャケットブーム、いろんなタイプが乱立してきたけど、ここにきて、舵が大きく切られた感じがする。ここ数年のわかりやすい変化といえば、ジーンズに代表されるダメージ加工の定着とか、どっちかというと素材感、質感の変化の方が目立ったが、ようやくシルエットがキッパリと変わった。女の子の方は、先行して2−3年前から、すっかりスルリとした姿してるのに、男の子の方は、90年代のビッグシルエットからの流れでだらだらのユルい方向にここしばらく流れてた。けど、ようやく男子服のシルエットも次の時代に入ったかなという気がする。
シルエットは、ぐっとタイトになった。それも、腰だけ絞ったって感じではなくて、胸も裾も袖も全体的に細くなった感じ。まるでワンサイズ小さいのを着てるみたい。古着のジャケットを着てる子は、ジャストより小さめのや、レディースのジャケットを選んでるみたい。だから、細いだけでなくて、丈も短い。
シルエットの変化にあうように、ディテールもだいぶ変わった。

傾向をまとめるとこんな感じ?
丈:短め、裾が袖丈より-3cm〜+3cm
Vゾーン:深め、一つ釦か二つ釦、上のボタン位置はみぞおちより下、深いものだとヘソの上ぐらい。
衿:幅狭め、ノッチ低め(ローゴージ)、細いピークドラペル、ショールカラーもあり。
肩:狭め、肩幅ジャストかそれ以下、ナチュラルショルダー(ノーパッドか、厚み1cm以下)
ベント:センターベント、もしくはノーベント
色:明るめ、ベージュ、ライトグレー、ピンク、白など。大穴は紺。


この春、なんといってもショートジャケット。どこんち(ブランド)もいきなり短いのリリースしましたねー。短さにもいろいろあって、ちょい短いのから、着丈が袖丈より短いのまで。妥当な線としては裾が袖丈より-3cm〜+3cmぐらいかと。中には袖も短いのもある*1。袖丈よりショートなやつは、とってもカワイくみえるので、オヤジには鬼門だな。
短くなった丈に対して、深くなったのがVゾーン。モード系で深Vゾーンがドロップされてから、久しいけど、いっこうに広まる気配がなかった。ようやく昨年あたりから、深いVが主役に。上からはVが深くなって、下からは丈が短くなるってことは、当然物理的にボタン数は二つ釦か、一つ釦になるってこと。
深いVにあわせて衿も調整が進んで、幅の細いナローカラー中心に。ナローカラーも出始めたのは早かった*2けど、その後、幅広の方向へ行ったり、昨年はピークドラペルに行ったり...で、今年は全体として幅狭な方向にシフトしたかな。ピークドラペルでも細目だったりする。一昨年からのタキシードも健在で、ショールカラーもよく見かける。一方で、グッチとか、サンローランとか、ビクター&ロルフとか、'70年代風幅広衿組も健在だけど。
衿回りの変化といえば、ローゴージ。ノッチ(刻み)の位置が、80年代後半のジャケットみたいに低い位置になってるやつが増えてきた。この10年ほどハイ・ゴージ主力だったけど、ようやく転換期か。数年前にナンバー・ナインもローゴージの黒ジャケット出したけど、その当時は野口強さんも「衿の形は、前の年の方が良かった」なんて酷評してたけど。一昨年のCICATA初コレクションも80年代を意識して、ローゴージだったんだけど、これも売れ残ってましたねー。昨年からLad Musicianなんかは、かなりLowな位置にもってきてますな。最近は古着でローゴージのジャケットを着てる子もちらほら見かける。ようやくローな襟が認められるようになったかな。
肩はナチュラルショルダーがメイン。ノーパッドか、薄パッド(厚さ1cm以下)。肩幅も狭目で、袖のセット位置は、肩ジャストか肩より内側。袖も細いので、アームホールも狭い。
ベントは、センターベントが増えた。ショート丈だとノーベントのもある。スーツはまだまだサイドベンツが主流だけど。
色は、黒主流から、明るい色目へシフト。白とかピンクも登場。主力はライトグレーやベージュかな。大穴としては、紺色。「ジャケットを紺ブレ風にジーンズに合わせて」って言ってるスタイリストやデザイナーも。昔、渋谷でやんちゃしてた頃が、みんなちょっと懐かしいんだろぅな。

*1:昨年のジュンヤ・ワタナベのコレクションのおかげで定着?

*2:'95のラフ・シモンズのデビュー・コレクションあたり?