English man in the West Coast

ZAP COMIX



「カリフォルニアで英国人を気取る。」


6月からこっち、ずーっと考えてた今年の秋冬服のコンセプト。*1



8月号の男子服雑誌をずざざーぁっと見ても、とりあえずアメリカンVSブリティッシュという二色刷り状態。どっちかはっきり決めてくれーっと思うのだが、その難しい「選択と集中」を末端の消費者に押し付けるかね。*2
ここで、どちらか一方に決めてしまうのは、惜しい。いや、悔しい。そう、一方に決めるということは、他方を捨てるということだ。仕事か、私か、どっちを取るのなんていう二者択一をせまるのは、お子様にありがちな質問。いい大人の答えとしては、両方とるのが正解。


この秋の男子服コーデは、ONではブリティッシュ・トラッド、OFFではアメリカン・カジュアルなんてのが、優等生の答え。でもそれじゃ、安全・安心・安易と「安っぽさ」のスリーピース。
せっかくだから、来季はアメリカンとブリディッシュの両方の風味を一皿に盛り込みたい。京野菜で作るイタリアンみたく。


米英リミックスの達人と言えば、、、ディヴィッド・ホックニー
東のウォホールの後を追うように、西の60年代アイコンとして、昨年あたりから人気のホックニー。イギリス生まれだけど、1964年、27歳で米国ロスアンゼルスへ移住。彼の作品同様、彼の格好も色味こそ、キャリフォーニァしてるけど、アイテム自体は、案外オーセンティック。ホックニーと聞いて思い出すのは、ロンドンストライプのボタンダウンにボーダー柄のニットタイなんて組合せ。そこに例のラウンド・フレームのメガネ*3をかければホックニーのコスプレが出来上がり。こんな感じ→http://www.oi-bijutsukan.com/item-0710036.html


ホックニーは、どっちかというと、夏向きキャラなので、秋冬のキャラでは、、、ロバート・クラム
あのFritz the Catの作者にして、60年代末―70年代を代表する伝説のコミック誌「ZAP Comix」を出版してたヒト。Mr.ビーンじゃないけど、ロバート・クラムも年中着てるツィード・ジャケットがトレードマーク。そしてメガネは、大ぶりで茶色のボストン・フレーム♪
R.クラムはフィラデルフィア生まれのヒトで、生地でイラストレーター稼業のかわわらカートゥーンを描き始めた。60年代後半にサンフランシスコに引っ越し、1968年"ZAP Comix"を刊行、'70年代の西海岸カートゥーンになくてはならない存在になった人物。詳しくはこちら→R.Crumb年表
N.Hollywoodが、この秋冬コレクションでモチーフにした映画「アメリカン・スプレンダー(American Splendor)」には、ジェイムズ・ウルバニアック扮するロバート・クラムが登場する。当然、N.Hollywoodのコレクションにも、ロバート・クラムのコスプレが登場している。他のモデルのアウトドアっぽいボリュームのあるアウター比べて、三つボタンのカチっとしたツイードジャケットで一人浮いている。*4
こりゃ、美味しいキャラだっ!
というわけで、R.クラムのコスプレを目指して、今年の秋は、N.Hollywoodのツイードジャケットを買うことに決めた。


ところで、
「ロサンゼルスでロンドンを気取る」と言うと、ぜんぜん別のイメージになるのは、不思議。

*1:コンシューマがコンセプトなんか考えんでもいいんだけども、コンセプトというか、切り口というか、そういう「枠」をガチっとはめとかないと、だだーとなし崩し的に買まくってしまうので。

*2:去年の秋冬は、とり合えずブリティッシュ・スクール風にしておけばOKだったので、気楽だったな。

*3:ホックニー風の丸メガネを昨年、pledgeが1万2千円ぐらいで発売したけど、見事に冬のバーゲンに残ってた。本気で受け狙いなヤツか、本気で美形なヤツでないと、アレはかけられないな。

*4:実際、R.クラムは若い頃から相当に偏屈な性格のヒトだったらしい。アンダーグラウンドカートゥーン・シーンで超有名になった彼に、ローリングストーンズからジャケットのイラストのオファーがあったが、あっさり断ったという伝説も。そのくせ、ハービー・ピーカーみたいな無名の素人おやぢから、日記どまりの文章のマンガ化する話を引き受けたりするんだから、すごい反骨精神。有名になったローリングストーンズからの頼みなんて、彼のPunk魂が許さなかったんだろう。単に、彼がジャズやブルースのSP盤のコレクターで(しかも、ハービー・ピーカーも筋金入りのJAZZレコード・コレクターときた)、ロックが嫌いだったって話もあるけど。