posture and hiphanger

この時期になると、男性誌は毎年こぞってスーツ特集を組んだりするわけなんだけど、変なことに気が付いた。


この時期のスーツ特集は、新入社員向けに「初めてのスーツ」入門ページなんて企画があったりする。袖丈の合せ方から、ネクタイの結び方まで、基礎知識がびっちり書いてある。あるいは、「これはNG、これはOUT」とか、べからず集もあったり。
で、気になったのは、「スーツを着るときは、背筋を伸ばせ!」って、いくつかの雑誌で書いてあったこと。以前は書いてなかったのになー、こんなこと。時代ですかねー、これも。
英国ルーツのテーラード・スーツは、ぬあんといっても、元々胸板の厚い欧米人が胸を鳩のように突き出して着ることを前提にしてるからねー。シャンとしないと様にならないように出来てる。逆に、ストリート系の服は、猫背でも目立たないからな*1。ストリート服の方が主流になってるってことだろうなぁ。ある雑誌(忘れた)では「スーツのときは、パンツの腰履き禁止!」(笑)って書いてあった。んなヤツいるんかい。書いてあるってことは、いるんだろう、たぶん。どんな業界だ、いったい。


7〜8年前、地べた座りが目に付いた頃、なんでそんな現象が起こったのか、ちょっと仕事で調査したことがある。そんとき、高校生の体力テストの結果なんかを20年前と比較したんだけど、腹筋はもちろん、背筋の筋力がぐっと落ちてるのね。そりゃ、姿勢も悪くなるわな、と思った。その後、地べた座りの姿は、オフィス街で新入社員の階段座り現象につながったけど、個々最近は、すっかり見かけなくなった。でも、姿勢の悪さは相変わらずなんだろう。
数年前、SOの店員さんからも、こんな話を聞いた。日本で売っているSOのスーツは、欧州で作られたオリジナルモデルとは、ちょっとつくりを変えていたそうだ。日本人は猫背なので、袖の取り付け位置を、少し前にずらしてあるらしい。
逆にラフ・シモンズのジャケットなんて、デビュー当時から、猫背で肩をすくめているかに見えるようにデザインされていた。若くて繊細な男の子が、猫背ぎみに古着のジャケットを着ているような感じを演出しようという企みだったんだと思う。その頃の匂いって、ナンバーナインなんかが受け継いでいるんじゃないかな。ストリートな感じは、やっぱ猫背でしょ。姿勢の良いバッド・ボーイなんて、なんか違う感じがする。猫背で、足よりでかいスニーカー履いてダラダラ歩くなんて、斉藤孝センセや有田秀穂センセに言わせれば、言語道断なんだろーけど。


わたくしとしては、猫背で不健康なのもイヤだが、胸張ってふんぞりかえってるのもイヤだ。ユルユルのストリートもダルいが、ガチガチのテーラードスーツもつまらない。Tシャツの上に、さらっとスーツを着流しで着て仕事できればいいんだけど。まぁ、それは定年後の楽しみにとっておこう。

*1:それでも、すごい猫背のヤツも見かけるが。なんてこと言ってる自分も、かみさんに姿勢をよく注意されるょ、この頃。ストリート服の弊害?それともPCの前に座りすぎ?