skin or not

http://d.hatena.ne.jp/hira333/20041014
「ある彫師の告白」

彫る深さは0.8㎜から1.2㎜、それより下は皮膚ではないので、医療の免許が必要となります。

おー、この説は初めてきいた。
高エネ研の島田美帆博士*1によると刺青の墨やインクは真皮の上層(乳頭層〜乳頭下層)に定着するそうだ。皮膚(表皮+真皮)の厚さは1.5〜4mm(場所によって違う)。表皮の厚さが0.2mmぐらいなので、「0.8〜1.2mm」の深さはちょうど真皮にあたる。数字には信憑性がありそう。
解剖学的には皮膚は表皮・真皮の下の皮下組織まで含めるが、皮膚の本体は表皮と真皮なので、「それより下は皮膚ではない」というのも間違ってはいない。
でも、皮膚ではないので「医療の免許が必要」というのは「?」。
皮膚構造(断面)模式図

真皮乳頭層には毛細血管が集まっており、彫るとけっこう血が出る。突いた針の跡から、小さな赤いたま露が次々滲み出してくる。さらに真皮乳頭層には近く神経末端も沢山ある。ここを針で刺すわけだから、けっこう痛い。「さびた剃刀で切るような痛み」*2という表現がよく使われる。


つまり、真皮までしか彫らなくても、十分人体に危害が加わることになる。人体に危害が加わるような危険なことは「医者しかやっちゃなんねっ!」というのが医師法だ。だから、お役所の方は、刺青は医師法に触れないというふうには見てくれていない。

*1:なんで高エネ研の人が刺青に絡む研究をしているのかは、いずれ。。。

*2:以前、TATTOOZのBBSで「彫るときの痛みをたとえると?」という質問があったが、誰かが「古いカッターナイフでゆっくり切るような感じ」と答えて、みんな「そうそう!」と大いに納得していた。